あなたは今、「自分」ですか?

トランス☆プロジェクトは、GID(性同一性障害)をモチーフにした劇を、当事者とともに、製作・上演している団体です。

はじめに

「どうして、トランス☆プロジェクトを立ち上げたのか?」

 

という疑問にお答えするなら、「(いわゆる)性転換手術が日本で認められた」という記事が1998年の春に新聞に載り、NHKと民放でトランスジェンダー(性同一性障害)を取り上げたドキュメンタリーが放映されたのを見て、そのあまりに過酷な事実に驚いたのがきっかけです。

ただ普通に暮らしたいだけなのにそれが出来ない苦痛に衝撃を受けました。

 

最初は私に何か出来る事があれば…と思ったのですが、当事者の方がありのままの自分を認めようとする姿勢に「自分もダメなところがいっぱいあるけれど、そういうところも含めて自分を認めても良いんだ」という風に思わせてもらえました。

たぶんその時にこの問題を自分の事として受け止めるようになったように思います。

 

トランスジェンダー(性同一性障害)はアイデンティティーの問題で、それは全ての人に通じる普遍の問題なのだと思います。

トランス☆プロジェクトの舞台は、トランスジェンダー(性同一性障害)を切り口にはしていますが、普遍のテーマに繋げた内容にしようと毎回心がけています。舞台にはトランスジェンダー当事者に限らず、当事者でない方や他のセクシャルリティーの方にも、ご出演いただいたり、スタッフとして参加していただいています。一緒に舞台を創り上げていく上でお互いに理解し、認め合うことの大切さを毎回感じます。

違いを認める事は難しいことかも知れませんが、誰しも「かけがえのない」人で、「この世でたったひとりの存在」だという事を思う時、たとえ完全な理解はできなくても、理解しようとする姿勢が必要なのだと思います、お互いに。
トランス☆プロジェクト代表 月嶋紫乃